オーストラリアを拠点に活動する後藤桂子さんの作品を紹介します。
初日の夜にはオンライントークを開催します。
19:30 ~ zoomを使って日本とオーストラリアの両方を繋いで行います。
詳細と申し込みはこちらのリンクを参照ください。

後藤桂子の暖かく楽しく,それでいて精神的な面も持った性格が彼女の作品に良く現れていて,他の人の作品の中でも目立つ存在になっている。また、それぞれのシリーズの題材にあった手作業の技法を用いているのは言うまでもない。

彼女が使用しているサイアノプリント も銀塩もそのスキルの高さと熟練度のレベルがそこにかかった沢山の時間と反復度を表している。天体写真からマクロ撮影に至るまでの技量は見事である。


「夜の宝石」のプルシアンブルーは、神秘的な雰囲気を醸し出す。後藤の天体写真の技術以上に彼女のビジョンが、見ている人を神秘的な世界へ導いていくのである。サイアノタイプは、世界中良く使われている安定したプリント技法であるが、後藤がここで使ったレベルまでの物は中々見ない。このサイアノ技法を教える身の私から見ても、後藤の高レベルで完璧なサイアノ技法には感服させられる。

「不気味」―なんと心を魅了するシリーズなのだろう。このスティルライフは、果てし無く静止から離れている―これらは、生き生きとして楽しく、また愛らしくもあり官能的でもあり、また中にはまるで宇宙から来た未知の生物の様でもある。　ここでも後藤の8×10カメラ、フイルムを扱うスキル は明確に現れている。被写界深度と質感の描写が、細心の注意を払って銀塩プリントに表現されているのである。

By Ellie Young, Gold Street Studio Australia, April 2022