Roonee 247 Fine Arts(ルーニィ・247ファインアーツ)

Exhibition

Room 1+2個展

中川隆司 写真展「All Things Must Pass」

中川隆司

会期:2017.09.05(TUE)- 2017.09.17(SUN)

12:00-19:00(月曜休廊、最終日16:00まで)

All Things Must Pass

九州の片田舎で思春期を迎えつつあった70年代。
学校の行き帰りと部活が生活のほとんど全てを占めていた。
一年に一回転校を繰り返していた僕は地元意識が強いローカル地域
ほどそこのコミュニティーに溶け込めないでいた。

疎外感を持った僕は中学は地元で通う事を諦め通学に2時間かかる私学に通った。
すると地元にいる時間はますます少なくなった。
家から駅に歩く道だけが自分にとっての地元になっていった。

その頃、免許もないのに車の造形に興味を抱くようになった。
国産車も各社しのぎを削り見栄えの良い車を発表していたあの時代。
そんな車を横目に通学していたある日見慣れない車を発見した。
はっきり見たわけではなかったが明らかに国産車とは違う造形が
見て取れた。
次の日の朝その車をじっくり見た。
「Ford Pint」
「フォード」
アメリカを代表するメーカーの車だった。
その時初めて自分の周りに未知の世界が存在することを知り
未知のものに触れて見たい欲求が頭の中に広がった。

18になり地元を離れ東京の大学で写真を勉強した。
その頃、写真はモノクロで撮るものだと信じていた。
新宿で100フィート缶を購入しボロアパートで拾ったパトローネに詰めた。
そのフィルムはコダックのTri-Xだった。
緑でもオレンジでもなかった。
僕の買うフィルムはいつも決まって黄色い箱だった。

時は流れた。

フォード、GMは日本車に押され生産台数を伸ばせなくなり
自動車産業の街デトロイトはあっけなく破綻した。
ロチェスターにあるフィルムの代名詞コダックもデジタルの波に乗れず破産を申請した。

どんなに大きく巨大であっても永遠に頂点に君臨する事は叶わない。
それは世界のフォード、GM、巨人コダックであったとしても。

すべての事柄が現在見せている姿は一瞬の姿に他ならない。

五大湖周辺に位置するシカゴ、バッファロー、ロチェスター、デトロイトの街。

繁栄と没落を経験した街をGMを駆って走り、コダックCCDとTri-Xで撮影した。
世界は時間のコンベアの上に乗って必ず時の洗礼を受けその姿形を変えていく。

そして次に訪れるであろう再生の時を世界中の人々が待ち望んでいる。

中川隆司

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