Roonee 247 Fine Arts(ルーニィ・247ファインアーツ)

Exhibition

Room 1個展

autolocus: ego recognition algorithm based on bird’s eye

杉田義隆

会期:2018.07.03(TUE)- 2018.07.15(SUN)

12:00-19:00(月曜休廊・最終日16:00まで)

 膨大なデジタルデータを眺め、典型的なパターンや価値の高い情報を抽出する仕事をしている。もちろん脳が扱えるデータ量や時間効率には限界があるため、抽出行為を自動化するアルゴリズムを作ることが多い。近年、この仕事は「ビッグデータ」や「AI」と呼ばれる。私はそこから着想を得て作品へ昇華した。

 私達の日常の記憶は断片的である。今朝パンをかじった瞬間、改札にカードをかざし損ねた瞬間、道端で猫と目があった瞬間、それらは不思議と強く覚えているものの、それらの間に何をしていたかという記憶は曖昧である。過去の記憶を振り返る。夕暮れまでセミの脱皮に見入った小学二年の夏、実験と論文執筆に追われた研究室の夜、北へ進むほどに雪深くなる一人旅の車窓、鮮明に記憶している時間と場所は、この世界の時空間内にポツンと記された点であるが、点同士は確実につながり、一本の曲線を構成するはずで、それこそが個の人生を示す。では、すべての点が等しく私であることを保証する者は誰なのか。

「鳥」は地球上のどこにでもいて同じような姿をしている。
「鳥」は遥か高くから人を俯瞰している。
「鳥」こそが観測者ではないのか。

 ここに展示された写真群は、人と鳥の間に介在する認識アルゴリズムにおいて階層的に積み上がる関数を意味する。展示の流れに沿って、関数は低次から高次へと段階的に成長し、より複雑な事象を表現することを可能にする。すなわち、点である私xは鳥yを撮影して集積し、高次の関数y=f(x)を近似する。これをもとに人生という曲線を意味づける逆関数を探求する。

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