Roonee 247 Fine Arts(ルーニィ・247ファインアーツ)

Exhibition

ミーヨン

韓国ソウル生まれ。1988年に渡仏。
パリ写真学校icart photo写真を学ぶ。
1991年以降東京在住。
私たちの存在について写真と文章による表現に取り組んでいる。

「I and Thou」ギャラリー mu-an、長岡(2017)/
「I and Thou」アン・クレルグ・ギャラリー、アルル(2016)/
「I and Thou」ル・サロン・ド・パンテオン、パリ(2016)/
「Alone Together」新潟絵屋、新潟(2016)/
「Alone Together」スペイス 22、ソウル(2015)/
「2歳の瞬間(とき)」せたがや文化財団・生活工房、東京(2002)など、
国内外で個展多数。
著書に、『よもぎ草子 – あなたはだれですか』 (写真集) 窓社、『Alone Together 』(写真集) kaya books、『月と太陽と詩と野菜』(小説)角川春樹事務所、『LOVE LAND』 (写真 + 詩) PHP、『いまここにいるよ』 (写真 + エッセイ) 偕成社、『I was born/ソウル・パリ・東京』 (写真 + エッセイ) 松柏社など。

2015年より長岡造形大学にて非常勤講師を勤める。

Recommend wall企画展

ミーヨン 「よもぎ草子 – あなたはだれですか 」

ミーヨン

会期:2017.11.21(TUE)- 2017.12.24(SUN)

12:00-19:00(最終日16:00まで 月曜休廊)

よくとおる通学路沿いに、ある日、いっぽんの草が、ひょっこりと顔をだした。
梅雨にはいってまもないころで、草はすくすくそだち、見るたびに、成長していた。
わたしはその道を、まいにち、朝、夕、とおりながら、草の生長を見まもるのが、
日に日に、楽しみになっていった。

地中に根をはやし、自分ではいっぽも動けず、ずっとおなじ場所に生きている草は、
どんな風景を見ているのだろう、なにを見ているのだろう、と思った。
カメラを、草の背丈にあわせ、地べたすれすれのところにかまえ、ファインダーをのぞいてみた。
草は、正方形のファインダーのなかにおさまり、見られるなかで、見ていた。

その草の名は、ヒメムカシヨモギ。
その、ヒメムカシヨモギに出会ってから、まわりにひっそりと自生する草たちの姿にも、目がとまるようになった。梅雨から夏にかけて、わたしはそれらの小さな存在に出会うために、いくつもの道へと出かけていった。

しばらくして、ヒメムカシヨモギがたおれているのに気づいた。わたしは、そのありのままの姿を、撮りつづけた。そして、ある朝、ヒメムカシヨモギは、跡形もなく消えていた。

短い間だったが、その草は、一生を全うし、わたしは、その生まれかわりを探すかのように、いまもなお、いくつもの道で、さまざまなヒメムカシヨモギの姿に、目をうばわれる。

だれもしらない、わたしだけの記憶──その記憶は、ときに幻のようで、あの暑かった夏の陽ざしのなかに溶けてしまいそうだが、密会のようにつづいた、ふたりの会話が、証拠のように、くっきりとフィルムに刻まれている。

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