Roonee 247 Fine Arts(ルーニィ・247ファインアーツ)

Exhibition

Room 1個展

名づけられたものたち

野口やよい

会期:2018.10.30(TUE)- 2018.11.04(SUN)

12:00-19:00(月曜休廊 最終日16:00まで)

数年前、箱根の山でバスを待つ間、足元に落ちていた朴の葉になにげなくカメラを向けた。
再生したその画像を見て驚いた。
侵しがたい何かが映っていたのだ。ただの葉だ。
しかも、散った後の葉。だがそれは土に戻るまでの道を、なおも凜として〈生きて〉いた。
それから落ち葉を撮影しに箱根や高尾などに足しげく通いだした。

「名づけられた葉」という新川和江の詩がある。
「わたしも いちまいの葉にすぎないけれど(中略)わたしは呼ばれる わたしだけの名で」。
ファインダー越しに落ち葉を見ながら、私は同時に「名づけられた葉」を見ていたのだと思う。
自分も含めて、この世にごまんといる、ありふれた人間たち。
何のために生きるのか。何のために写真を撮るのか。

新川の詩はつづく。
「だからわたし 考えなければならない 誰のまねでもない 葉脈の走らせ方を 刻みのいれ方を せいいっぱい緑をかがやかせて うつくしく散る法を」。

落ち葉にはそれぞれ固有の色や形、朽ち方、佇まいがあった。
百枚、千枚と撮影するうちに、すとんと胸に落ちるものがあった。〈いのちはどれも美しい〉と。

自分以外の何者にもならなくていい。精一杯生きればいい。-囁くようだったその声は、シャッターを切るたび大きくなっていった。

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